千田 悠人 ーYuto CHIDA
略歴
<学歴>
2021 東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科 卒業
2023 東北文化学園大学大学院健康社会システム研究科前期課程 修了
<職歴>
2021 東北文化学園大学 Teaching Assistant
2021 介護老人保健施設やる気になる里 通所リハビリテーション(非常勤)
2021 ゆう貝ヶ森(非常勤)
2021 イリーゼ仙台柏木 住宅型有料老人ホーム 訪問看護(非常勤)
2022 地域医療機能推進機構 仙台病院(非常勤)
2022 JR仙台病院(非常勤)
2024 JR仙台病院
受賞
第25回宮城県理学療法学術大会 新人賞
研究テーマ・キーワード
肩甲帯の動的評価法の開発に関する研究
職種・資格
メールアドレス
y.chidaaa◯gmail.com
(〇を@に置き換えて下さい)
<国内学会>
千田悠人、村上賢一、藤澤 宏幸
肩甲帯運動システムにおける周波数応答に関する研究
第29回日本基礎理学療法学術大会
千田悠人、村上賢一、藤澤 宏幸
位置速度曲線による肩甲帯動的運動機能評価の定量的判別基準に関する検討
第28回 日本基礎理学療法学会学術大会
千田悠人、村上賢一、藤澤宏幸
肩峰軌跡解析による肩甲帯機能評価の開発ー固定方法の違いによる体幹回旋代償運動の影響ー
第27回 日本基礎理学療法学会学術大会
千田悠人、村上賢一、北村隼人、嶋田剛義、佐藤大生、藤澤宏幸
肩峰軌跡解析による肩甲帯機能評価の開発ー固定方法の違いによる胸鎖関節部の変動量の比較ー
第25回 宮城県理学療法学会学術大会
<その他>
千田悠人、村上賢一、藤澤宏幸
肩峰軌跡解析による肩甲帯機能評価の開発ー固定方法の違いによる肩峰軌道幅・胸骨部変動量の比較ー
第6回 基礎理学療法学 若手研究者ネットワーク シンポジウム
Electromyographic Active in the Immobilized Shoulder Girdle Musculature During Scapulothoracic Exercises
肩甲胸郭運動中における肩甲骨周囲筋の筋電図活動
著者:Jay Smimth, L.Dahm, Kenton R.Kaufman.
雑誌名:Archives of Physical Medicine and Rehabilitation 2006;87(7):923-927.
【Introduction】
肩関節損傷や手術後には患部の回復を阻害しないよう肩関節固定が一般的に選択される。しかし、固定による不動は肩関節周囲筋の筋力や神経筋活動の低下を招くため、廃用予防の運動処方が必要となる。一方で、損傷組織の過活動は回復過程の阻害となるため安全に行える範囲内に留める必要がある。これまで、固定側の肩甲胸郭運動を行った際の筋電図学的活動を報告した先行研究は存在しておらず、どの程度の運動が安全に行えるかは不明であった。そこで、本研究の目的は肩固定下で行う肩甲胸郭関節運動の筋電図学的分析にて定量的なデータを明らかにすることとした。本研究は肩固定期間中の早期肩関節リハビリテーション実施について重要な臨床的意義を持つと考える。
【Method】
被験者24~32歳の健康な右利きの男性5名とした。筋電図細線電極にて、棘上筋(SS)・棘下筋(IS)・肩甲下筋上部線維(USSC)を測定した。また、表面筋電図にて、三角筋前部線維(AD)・三角筋中部線維(MD)・三角筋後部線維(PD)・僧帽筋上部線維(UT)・僧帽筋中部線維(MT)・僧帽筋後部線維(LT)・前鋸筋(SA)・上腕二頭筋(BB)を測定した。測定データは2000Hzでサンプリングし、20~1000Hzのバンドパスフィルターで処理した。各筋の筋電図活動は最大等尺性収縮(MVC)から基準化し%MVCにて算出した。また、各筋の筋電図は各運動条件におけるピーク1秒の値を算出し、5名の被験者で平均化した。肩甲骨運動・①反時計回り②時計回り③下制④挙上⑤屈曲⑥伸展の6つの運動条件を設けた。運動は最大運動範囲を滑らかに10回実施させ、順序はランダムとした。各運動の間に5分間の休息を設けた。
【Results】
MD・PD・IS・BBはすべての運動で20%MVC以下だったまた、ADは28%MVC(反時計回り)と26%MVC(時計回り)を除き20%MVC以下だった。USSCはすべての活動で高く40%MVC(下制)〜63%MVC(時計回り)だった。SAは18%MVC(挙上)〜47%MVC(下制)だった。SSは13%MVC(下制)〜53%MVC(時計回り)だった。僧帽筋はMTの16%MVC(下制)〜UTの91%MVC(時計回り)だった。
【Discussion】
屈曲及び下制運動は腱板筋群にて活動が小さく、損傷後も安全に行える運動であることが明らかになった。一方で時計回しや反時計回し運動はSSにて筋活動が高く、避けるべき運動であると考えられた。BB の活動は全運動で低値を示したことから、SLAP損傷後の肩甲胸郭運動は安全であることが明らかになった。一方で、USSCの活動は全運動で高値を示したことから、肩甲下筋損傷後の肩甲胸郭運動は避けるべきであると考えられた。しかし、この結果は腹部に位置する手部の影響により肩関節内旋運動が伴った可能性がある。そのため、手部を腹部から離した状態にて肩甲胸郭運動を行うことで筋活動を抑制できるかもしれない。
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【Critical Reading】
本研究は肩固定下における肩甲胸郭運動の筋電図学的分析を初めて行った研究である。臨床上のリスク管理や廃用予防の観点から行うべき運動、避けるべき運動を明確に示せている点は非常に意義がある研究と考える。しかし、本条件は運動速度が規定されておらず再現性が担保できない問題点がある。加えて、筋電図学的には速度がピーク値に与える影響は大きく、その点も不十分と考える。そのため、筋電図学的分析を行う場合は運動速度や範囲、負荷量等の条件統制を行う必要があると考える。また、運動と筋電図データの照合を行うことで質的な解釈も可能になると考える。
担当者:千田悠人
Specific kinematics and associated muscle activation in individuals with scapular dyskinesis
肩甲骨運動異常を有する者の運動学と筋活動
著者:Tsun-Shun Huang, Hsiang-Ling, Chien-Ying Huang.
雑誌名:Journal of Shoulder and Elbow Surgery 2015;24(8):1227-1234.
【Introduction】
肩甲骨の位置と動きの変化が異常な状態を肩甲骨運動異常(SD)といい、肩関節疾患との関連性が報告されている。著者らは先行研究にて新たなSDの包括的分類テストの信頼性を報告しているが、その臨床的意義については今後の課題となっていた。特定のSDパターンから治療戦略を決定するためには肩甲骨運動や筋電図(EMG)との関連を明らかにする必要がある。そこで、本研究の目的はSD包括的分類テストとEMGを使用し、肩甲骨運動と関連する筋活動を明らかにすることとした。
【Method】
被験者片側の肩に疼痛を有する18~50歳までの82名(男性65名、女性17名、年齢22.9±3.3歳)。
除外基準過去1年以内に骨折や手術の既往がある者、過去1ヶ月以内に頸部や上肢に直接的な損傷を負った者、側弯症や神経症、肩甲平面挙上時痛(VAS3以上)がある者とした。
EMG僧帽筋上部線維(UT)は第7頚椎棘突起から肩峰後角を結ぶ線上、中部線維(MT)は第3胸椎棘突起から肩甲棘を結ぶ線上、下部線維は(LT)は第7胸椎棘突起から肩甲棘を結ぶ線上に電極を配置した。また、前鋸筋(SA)は広背筋の前方と大胸筋の後方の位置に電極を配置した。
手順運動課題は肩甲平面上にて上肢挙上下制を行う課題とした。速度は3秒で挙上、3秒で下制とし、メトロノームの音で統制した。運動時、1.4kgまたは2.3kgのダンベルを把持させ実施させた。初めに、SD包括的分類テストのため6施行実施した。その後に、課題遂行中のEMG測定を5施行実施した。最後に、各筋5秒間の最大等尺性収縮(MVC)を3施行測定した。MVCはEMGを基準化するため測定した。
統計解析運動学とsEMGデータの正規性確認としてShapiro-Wilk検定を実施した。正規分布に従った場合、SDの有無と角度要因(運動学、EMG)による二元配置分散分析を行った。多重比較法はBonferroni法を用いた。正規分布に従わなかった場合、Mann-Whitney U 検定にてSD有り群とSD無し群の比較を行った。最後に、有意差を認めなかった場合、効果量を算出し、臨床的差異を判定した。
【Results】
運動学データは下制相にてSDの有無による主効果を認めた。SDパターンⅠでは肩甲骨の後傾、SDパターンⅡ及びⅠ+Ⅱでは肩甲骨の外旋が有意に小さかった。
EMGデータは下制相にてUT交互作用を、LT及びSTでSDの有無による主効果を認めた。UTではSDパターンⅡの>120°条件で約14%有意に大きい筋活動を示した。LTではSDパターンⅠ+Ⅱ条件で約5%有意に小さい筋活動を示した。SAではSDパターンⅠ+Ⅱ条件で約10%有意に小さい筋活動を示した。また、上記筋において有意差がなくとも効果量>0.5を示した条件も複数認めた。
【Discussion】
本結果より特定のSDパターンに関連する運動学と筋活動の変化が明らかとなった。SD群の特徴として肩甲骨の後傾・外旋の減少、UTの過活動、LT・SAの活動減少が挙げられる。そのため、治療戦略としてパターンⅠ及びⅡの場合、UTの活動抑制、LT・SAの活性化が重要と考えられる。
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【Critical Reading】
今回の研究では運動学的に肩甲骨後傾・外旋の減少が報告された。しかし、肩インピンジメント症候群を有する対象者を扱ったMcClureらの研究では正反対の肩甲骨後傾・外旋の増大が報告されている。そもため、本評価法のSDパターンに分類されないパターンが存在しており、網羅しきれていない欠点がある。上肢挙上課題では肩甲上腕関節の機能低下による肩甲骨代償なのか、肩甲骨自体の機能低下なのか判別しきれない問題があると考える。
担当者:千田悠人
Comprehensive classification test of scapular dyskinesis : A reliability study
肩甲骨運動異常の包括的分類テスト:信頼性研究
著者:Tsun-Shun Huang, Han-Yi Huang, Tyng-Guey Wang
雑誌名:Manual Therapy 2015;20:427-432.
【Introduction】
肩甲骨は正常な肩関節機能に重要な役割を担っているため、本来の役割を十分に発揮できない場合、肩機能の低下を招く。Kiblerは、肩甲骨の位置と動きの変化が異常な状態を肩甲骨運動異常(以下:SD)と定義し、SDの有無は肩の病態と関係があり臨床的に重要な所見であることを報告した。SD評価の信頼性は、Kiblerらの方法でκ係数0.31-0.42、McClureらの方法で0.48-0.61と低〜中等度の報告がなされている。今回、著者らはこれまで報告されているSD評価の方法を統合(視診+触診+負荷加重)し、新たなSDの包括的分類テストを考案した。本研究の目的は本評価法の信頼性を明らかにすること、上肢挙上相及び下制相のSDパターンを明らかにすることの2つとした。
【Method】
被験者片側の肩に疼痛を有する18~50歳までの60名(男性45名、女性15名、年齢22.5±2.6歳)。
除外基準過去1年以内に骨折や手術の既往がある者、過去1ヶ月以内に頸部や上肢に直接的な損傷を負った者、側湾症や神経症、肩甲平面挙上時痛(VAS3以上)がある者とした。
SD包括的分類テスト本評価は、上肢挙上下制運動中の肩甲骨運動を視診+触診にて評価した。また、負荷加重を加えており、1.4kgまたは2.3kgのダンベルを把持させた。上肢運動は3秒で挙上、3秒で下制の速度に統制した。触診は母指で内側縁、2~5指で肩甲棘を触知した。被験者は合計12施行の上肢運動を実施した。触診の関係上、課題の奇数回目を検者1が、偶数回目を検者2が評価した。検者は6施行評価を行い、3施行以上確認できたPatternを選択した。
PatternⅠ:肩甲骨下角の突出
PatternⅡ:肩甲骨内側縁の突出
PatternⅢ:肩甲骨上縁の隆起(肩甲骨挙上の早期出現、肩甲骨上方回旋の不足)
PatternⅣ:正常(安静時位置・動的運動時に異常ない状態)
Mixed Pattern:異常Patternの混合タイプ(①Ⅰ+Ⅱ、②Ⅱ+Ⅲ、③Ⅰ+Ⅳ、④Ⅰ+Ⅱ+Ⅲ)
統計解析2名の検者の一致率とκ係数を算出し、被験者間信頼性を判定した。
【Results】
一致率は挙上相で83%(50/60)、下制相で68%(41/60)だった。κ係数は挙上相で0.49、下制相で0.57-0.64だった。
【Discussion】
本評価法は中等度の信頼性を有することが明らかとなった。この信頼性は評価尺度が近いKiblerらの方法よりも高かった。また、尺度を簡便化したMcClureやTateらと同程度の信頼性を有していた。触診を加えることで信頼性が向上することが明らかとなった。
次に、挙上相と下制相でSDパターンが異なることが明らかとなった。挙上相ではパターンⅢとⅣが多く、下制相ではパターンⅠ・Ⅱ・Ⅳ・MixedⅠ+Ⅱが多かった。下制相の方が出現するSDパターンが多様で信頼性が低くなった。特にⅠ・Ⅱ・MixedⅠ+Ⅱの判別が困難であることが明らかとなった。
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【Critical Reading】
本研究は既存のSD評価法を統合し、1つの包括的テストとして位置付けた興味深い研究であった。しかし、SDを有することは肩甲帯機能低下故なのか、肩甲上腕関節の機能低下に対しての補償なのかは本評価だけでは説明できないと考える。また、パターン区別ができても上肢挙上・下制時における肩甲骨の状態が客観的尺度として説明できるだけで、治療選定までは結びついておらず、今後の課題である。
担当者:千田悠人
Qualitative clinical evaluation of scapular dysfunction: a reliability study
肩甲骨機能不全の定性的臨床評価:信頼性の検討
著者:W. Ben Kibler , Tim L. Uhl , Jackson W.
雑誌名:Journal of Shoulder and Elbow Surgery 2002;11(6):550-556.
【Introduction】
肩甲骨安静位と動的運動の変化は、インピンジメント、不安定性、腱盤損傷など多くの種類の肩障害と関連して広く認識されてきた。これらの変化は、反対側と比較した異常な運動や位置であり、肩甲骨の機能障害の臨床的徴候であると考えられてきた。これまで肩甲骨の運動異常を客観的に定量化するため、視覚的評価、体幹からの偏位量、3次元電磁波評価などが考案されてきた。しかし、これらの評価法は高価な機器を必要とする欠点があること、静的評価では肩甲骨の動的運動異常を適切に評価することが困難である問題点があった。そのため、我々は視覚観察にて肩甲骨の運動異常を評価する肩甲骨機能不全の臨床評価システムを考案した。本研究の目的は、本評価法の評価者内信頼性および評価者間信頼性を明らかとすることである。
【Method】
被験者26名(年齢29.5±9歳、体重81.2±15.95kg、身長178±11.9cm)。うち6名は肩の損傷歴がなく、可動域は正常であった。20名は腱板炎や肩関節不安定症、関節唇損傷の診断を受けているものとした。肩甲骨機能不全の臨床評価システム Type1:肩甲骨下内側の突出。Type2:肩甲骨内側縁の突出。Type3;肩甲骨上縁の隆起。Type4:左右対象。測定手順被験者は安静立位にて肩関節外転運動を3施行行った。運動面は前額面上と前額面より45°前方(肩甲平面)の2種類とし、運動速度は45°/秒で統一した。検査時、204cm離れた位置から運動課題をビデオ撮影した。各被験者のビデオ記録を盲検評価者が確認し、臨床評価システムType1~4に分類した。最初のビデオテープ観察日から17日後に2名の同評価者が同ビデオを視聴し、再度各被験者を評価した。統計解析理学療法士2名、医師2名が観測したデータを使用し評価者間信頼性をκ係数を用いて算出した。また、1名の理学療法士と1名の医師の初日と17日後の両データにて評価者内信頼性を算出した。
【Results】
医師の評価者間信頼性は0.31、理学療法士の評価者間信頼性は0.42であった。被験者内信頼性は医師で0.59、理学療法士で0.49であった。本評価法には中等度の一致度と信頼性があった。
【Discussion】
本評価法は、肩甲骨運動異常を簡便で非侵襲的、かつ、比較的迅速に評価可能である。また、肩甲骨運動異常を有する患者をより特定のパターンに分類するための診察手段として有用である。しかし、本研究の評価者間信頼性及び評価者内信頼性は中等度であり若干低いことが分かった。この原因として、4つのパターンでは十分説明できない可能性や、複合的なパターンの存在、3回の反復運動では不十分な可能性、ビデオ撮影では2次元しか捉えることができない、などの問題点が考えられる。そのため、本評価法を改良することで、より臨床家の中で肩甲骨の運動異常の分類を標準化出来る可能性がある。
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【Critical Reading】
肩甲骨運動異常は静的位置または動的運動異常を指す定性的な表現である。本臨床システムのType1~4は、安静時と肩挙上運動時のどちらにも定義が存在するため、肩甲骨運動異常を判別する評価法としては申し分ないと考えられる。ただ、本研究の実験方法では、運動課題中のどのタイミングで、各評価者がType1~4を選択したのかが不明瞭である。一般的に肩甲骨運動異常は、安静時・肩挙上位・肩挙上運動中など各フェーズによって出現しやすいTypeが異なることが報告されている。従って、安静時・肩挙上位・肩挙上運動中のフェーズ毎にTypeを選択させ、本評価法の信頼性を検討する必要があると考える。
担当者:千田悠人
STRENGTH PROFILES IN HEALTHY INDIVIDUALS WITH AND WITHOUT SCAPULAR DYSKINSIS
肩甲骨運動異常を有する健常者と有さない健常者における筋力プロフィール
著者:Daniel C. Hannah , Jason S. Scibek , Christopher R. Carcia
雑誌名:The international Journal of Sport Physical Therapy 2017;12(3):390-401.
【Introduction】
肩甲骨の役割に関する研究は増え続けているが、肩甲骨の運動異常は発症させる正確な原因は完全には解明されていない。先行研究では、投球スポーツを行う被験者の中で肩甲骨運動異常有無群に群別し、運動異常を有する群では僧帽筋下部線維の筋活動が有意に低いという結果が報告されている。ただ、健常成人において同様の先行研究は存在しておらず、基礎データの収集が必要だと考える。そのため、今回の研究では健常成人を肩甲骨運動異常の有無で群分けし、肩関節複合体の筋活動を比較することを主目的とした。作業仮説は、肩甲骨運動異常を有する群で筋力が低下しているとした。
【Method】
被験者デュケイン大学健康科学部から本研究に志望した学生40名(年齢22.2±2.4歳、身長169.9±8.7cm、BMI23.7±3.1kg/m2、男性12名・女性28名、左利き3名・右利き37名)を対象とした。参加基準は①18歳から40歳②頸部や利き手(ボールを投げる方)肩の損傷や病歴がないこととした。除外基準は①筋力や上肢ROMに影響を及ぼす神経学的疾患がある②140°以上肩挙上不可③利き肩の手術歴がある④関節リウマチの診断がある⑤現在妊娠しているとした。データ収集中、肩甲骨運動異常を有する被験者が多い(68%)ことが判明した。そのため、13組のペアとなるよう運動異常を有する被験者14名を除外した。SDT McClureらが考案したScapular dyskinesis test(SDT)によって肩甲骨運動異常の有無を判断した。MMT僧帽筋上部、僧帽筋中部、僧帽筋下部、前鋸筋、棘上筋、内側回旋筋群、外側回旋筋群を測定した。筋力はHHDを用い定量的に計測した。測定は2秒間力を漸増し、3秒間最大努力させた。全ての筋で3施行行い、平均値を代表値とした。また、平均値を体重(N)で除し、基準化した。統計解析肩甲骨の運動異常の有無と筋力の差を比較するために独立変数を運動異常の有無、従属変数をMMT筋力とした混合計画における二元配置分散分析を行った。また、従属変数を筋力比(UT/LT、UT/MT、LT/MT、SA/UT、SA/MT、SA/LT、LR/MR)にて二元配置分散分析を行った。
【Results】
肩甲骨の運動異常と筋力の間に有意な交互作用を認めなかった。また、肩甲骨の運動異常による有意な主効果も認めなかった。一方、筋力では有意な主効果を認めた。筋力比も同様の結果だった。
【Discussion】
本研究は、肩甲骨運動異常を有する健常者と有さない健常者の肩周囲筋の筋力を比較した初めての研究である。結果は、両群に有意差な筋力差を認めなかった。このことは、健常者の肩甲骨運動異常の発症に寄与する要因は最大筋力ではない可能性を示唆するものであり、神経筋のコントロールなど他の筋パフォーマンスの要因が影響していると考えられる。また、健常者は意外にも肩甲骨の運動異常を有していることが明らかとなり、興味深い結果も得られた。そのため、健常者における肩甲骨の運動異常の有病率をさらに明らかにするため、今後さらなる調査も必要だと考えられる。
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【Critical Reading】
SDTは肩甲帯動的評価法なのに対し、MMT筋力の測定方法が静特性に依存していることが結果に影響していると考える。そのため、著者ら同様に神経筋のコントロールを課す動的な課題にて比較することが必要だと考える。しかし、肩甲骨周囲筋のみの動特性を評価する肩甲帯動的評価法は存在していない。今後、肩甲帯のみを課題とした評価法を開発し、肩甲骨運動異常の有無を明らかにしていく必要がある。
担当者:千田悠人
Functional reach: a new clinical measure of balance.
ファンクショナルリーチ:バランスの新たな臨床評価法
著者:Pamela W Duncan, Debra K Weiner
雑誌名:Journal of Gerontology1990;45(6):192-197.
【Introduction】
直立姿勢維持は小さな支持基底面内の上で複雑なタスクが必要である。これまで、立位でのバランス評価として様々な静的タスクや動的タスクが考案されてきた。動的タスクの代表として圧力中心軌跡(以下:COPE)が知られているが、高価な機器を必要とするため臨床での使用には限界がある。今回、我々はCOPEと同様に動的バランス能力を示す指標としてFunctional Reach(以下:FR)を考案した。本研究の目的は、FRの信頼性と精度の検証及びFRに影響を及ぼす因子の推定である。
【Method】
被験者若年群(20-40歳、男16名、女28名)、中年群(41-69歳、男22名、女28名)、高年群(70-87歳、男20名、女14名)にて合計128名とした。除外基準は左利き、主要な整形外科または神経学的診断を有する者、過去6ヶ月以内に原因不明の転倒をした者、10分間立位保持できない者、上肢挙上制限がある者、肩関節に疼痛を有する者、感覚障害及び筋緊張異常を有する者とした。使用機器床反力計、FR測定用電子システム、48インチ測定器(ヤードスティック)FRリラックスした立位にて肩を測定器に対して垂直となるよう挙上した。手はグー、足部は裸足とした。その姿勢で1歩も動かずに、できる限り前方にリーチさせた。リーチ時は上肢を壁に接触させないようにした。もし、壁に触れた場合や1歩踏み出した場合はやり直しとした。測定は3回行い、代表値は3回の平均値とした。手順被験者に3つのブロックを設けた。第1ブロックでは簡便な神経学的検査と骨格系検査を実施した。正常な者のみ本研究への参加とした。第2ブロックでは床反力計とFR測定用電子システムを用いFRを測定した。第3ブロックではヤードスティックを用いFRを測定した。評価者間信頼性を検証するため、3ブロック目の17名の測定値を盲検化された2人の検者が記録した。また、再試験信頼性を検証するため14名の被験者が1週間以内に再テストを実施した。統計解析FR測定値を平均値と標準偏差で記述統計した。信頼性はICCを用いて評価した。精度は変動係数(標準偏差/平均値×100)を用いて評価した。相関はピアソンの積率相関を用いた。年齢と体格の影響は連続変数に対する線形モデリング手法を用いて解析した。
【Results】
年齢の増加及び身長が低いとCOPE及びFR測定値が減少する傾向が強かった。COPEとFRの相関は電子システムで0.71、ヤードスティックで0.69だった。また、身長及び四肢長とFRの相関は全ての0.8以上だった。再試験信頼性(ICC(1,3))は、COPEが0.52、電子システムが0.81、ヤードスティックが0.92だった。評価者間信頼性(ICC(1,3))はヤードスティックで0.98だった。変動係数はCOPEで7.5%、電子システムで4.4%、ヤードスティックで2.5%だった。
【Discussion】
FRは、日常生活上でも行われる立位でのリーチをシミュレートする測定方法である。そのため、バランス検査のみの位置付けとされていたこれまでの動的評価法とは異なり、FRを測定すること自体に意味があると考えている。今回の結果で、FRは優れた精度と評価者間信頼性を有していた。また、安価で信頼性の高い検査であることから、新たな動的バランスを測定する臨床評価法として我々はFRを提案する。今回、FRの測定値に影響を与える因子は、身長と年齢であることがわかった。今後はFRの測定特性を確立させていくと共に、高齢者の虚弱の指標としてFRを活用していく検証を進めていく。
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【Critical Reading】
新たな評価法を確立する上で、COPEとFRの相関を記載し、基準関連妥当性を担保しながらもFR自体がより安価で簡便、かつ、測定方法自体に意義があると説明した本文献は大変参考になった。
担当者:千田悠人
Differences in the activity of activity of the shoulder girdle and lower back muscles owing to postural alteration while using a smartphone .
スマートフォン使用時の姿勢変化による肩周囲筋および腰部筋の活動量の違い
Gen Adachi, Tomoki Oshikawa
The Journal of Medical Investigation2020;67(3.4):274-279.
【Introduction】
近年多く人がスマートフォン(以下:スマホ)を使用している。スマホを頻繁に使用する人は慢性的な腰痛、頚部痛、肩こりの発症が高いことが報告されている。また、スマホ使用時は、頚部前方突出や肩甲骨外転位など不良姿勢を取ることで、頚部筋の過活動や負担増加を呈すことが先行研究で報告されている。これまでスマホの使用と姿勢制御に関する研究は主に頚部に着目した研究が行われてきており、肩周囲筋や腰部筋の活動については散見されない。そこで、本研究の目的はワイヤー筋電図及び表面筋電図を用いて測定し、スマホ使用時の肩周囲筋及び腰部筋の活動の差異を明らかにすることとした。
【Method】
被験者健常成人男性16名(年齢:21±2歳、身長:170.9±5.1cm、体重:68.1±10.2kg)が本研究に参加した。除外基準は過去3ヶ月以内に腰痛、頚部痛、肩こりを発症したものとした。実験方法【姿勢分析】被験者の耳珠、肩峰、第7頚椎棘突起(以下:C7)、上前腸骨棘(以下:ASIS)、上後腸骨棘(以下:PSIS)、大転子にマーカーを貼付した。良姿勢は大転子と耳珠・肩峰が近い位置とした。不良姿勢は大転子と耳珠・肩峰が離れている位置と定義した。測定角度はC7と耳珠を結ぶ前方頭部角度(以下:FHA)、C7と肩峰を結ぶ前方肩角度(以下:FSA-C7)、大転子と肩峰を結ぶ前方肩角度(以下:FSA-GT)、ASISとPSISの傾きによる骨盤前傾角(以下:APT)を算出した。また、C7からの垂直線とASIS・PSISの中点を結ぶ垂直線との距離をASIS・PSISの距離で除し、100で乗した矢状軸距離率(以下:SVA)を算出した。【筋活動測定】バイポーラ筋内ワイヤー電極にて大菱形筋(以下:Rhom)、表面電極にて僧帽筋上部(以下:UT)、僧帽筋中部(以下:MT)、僧帽筋下部(以下:LT)、腰部脊柱起立筋(以下:LES)、多裂筋(以下:LMF)の筋活動を測定した。【最大随意等尺性収縮】全姿勢の施行終了後、最大随意筋収縮量(以下:MVIC)を測定した。無作為の順序でMVICを5秒間測定し、測定間に30秒の休息を設けた。【データ処理】各姿勢を10秒間保持し、中間5秒を解析した。筋活動は二乗平均平方根値を算出し、MVICで基準化した%MVICを算出した。統計解析全データの平均値と標準偏差を記述統計した。良姿勢と不良姿勢における各データを対応のあるt検定を実施した。
【Results】
不良姿勢は良姿勢に比べFHAの角度が有意に大きかった。一方、FSA-GT、APT、SVAの角度は有意に小さい結果となった。FSA-C7の角度に有意な差は認めなかった。筋活動では、不良姿勢のRhomとLTが有意に小さかった。一方、LESとLMFは有意に大きい結果となった。
【Discussion】
本結果より肩甲骨の良姿勢を保つためにはRhomとLTの活動が必要であることが分かった。先行研究ではRhom、MT、LTの機能低下が頚部痛、肩痛に繋がることが報告されており、今回の結果からスマホ使用による不良肢位はこれらの疼痛を誘発する可能性があることが示唆された。
腰部筋活動は不良姿勢で有意に増加しており、このことは体幹屈曲に伴う相殺トルクだと考えられる。腰部筋の筋活動増加は、筋・筋膜性腰痛に繋がる可能性がある。
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【Critical Reading】
不良姿勢における頚部前方突出をFHA、SVAにて定量的に担保していることが参考になった。一方、肩前方突出においては肩甲骨のアライメントを評価する必要があるため、肩峰-肩甲三角とした計測にする必要があると考える。また、不良姿勢時の声がけを統制し、検者間信頼性を担保すべきだと考える。
担当者名:千田悠人
投球アスリートの肩インピンジメント症状と肩挙上力に及ぼす肩甲骨リポジションテストの影響
Angela R. Tate , Philip Mcclure.
The Journal of Orthopaedic and Sports Physical Therapy 2008;38(1):4-11.
【Introduction】
肩甲骨の運動異常を特定する1つの手段として、症状の変化を確認するテスト方法がある。Kiblerらの先行研究にて、肩挙上力が肩甲骨安静時位より後退位(Scapular Retraction Test)で増加すると報告されている。今回、我々はKiblerらのテストポジションを修正し、肩甲骨の後傾と外旋を強調したScapular Reposition Test(以下:SRT)を考案した。本研究では、インピンジメントテスト陽性徴候のある者とない者において、SRTにて肩疼痛が軽減するのか、また、肩挙上力が増加するかどうかを検討した。加えて、SRTによる肩疼痛と筋力の関係性の変化についても検討した。
【Method】
被験者投球スポーツを行う142名(男性111名、女性31名、年齢:20.8±2.8歳)である。除外基準は、BMI30以上の者、腱板断裂または肩脱臼、外傷性肩損傷の既往歴を有する者とした。実験方法初めに、肩甲骨ニュートラル肢位で3種類の疼痛誘発テストを(Neer、Hawkins、Jobe)検査した。テストが陽性であった場合、NRSを用い0~10の間で疼痛を評価した。その後、SRT肢位で再度疼痛誘発テストを行い、NRSを評価した。次に、Jobeテストポジションでの等尺性挙上力を肩甲骨ニュートラル肢位とSRT肢位でダイナモメータを用いて5秒間、3施行測定した。データ分析インピンジメント陽性は、3種類の疼痛誘発テストで1つ以上陽性の場合とした。肩疼痛の軽減は、NRS1ポイント以上の減少と定義した。肩挙上トルクは等尺性挙上3施行の平均値に肩峰−尺骨茎状突起間距離を乗じて算出した。統計解析肩インピンジメントの有無による肩挙上トルクの差の検定をt検定で実施した。加えて、肩甲骨位置要因とグループ要因にて2元配置分散分析を実施した。また、肩甲骨位置による肩疼痛の軽減と肩挙上力の関係性を判断するためオッズ比を算出した。
【Results】
肩挙上トルクは、インピンジメントの有無に関わらず、肩甲骨ニュートラル肢位よりもSRT肢位にて有意に増加した。本研究における肩挙上トルクの最小可検変化量は9.3Nmであり、SRT肢位にて有意な筋力変化を示した割合はインピンジメントを有する群で26%、有さない群で29%であった。また、インピンジメントの有無で有意な差はなかった。SRT肢位にて有意な筋力変化を表した人数とNRSで痛みが1ポイント以上の変化の有無で分割した際のオッズ比は1.45(0.58~3.67)であった。
【Discussion】
SRT肢位にて肩挙上トルクが有意に増加したのは、三角筋と棘上筋がより伸張位になることから張力が増加したと考えられる。しかし、インピンジメントを有する群で最小可検変化量を超えて有意に増加したのは26%だけであり、これはインピンジメント症候群の原因が多因性であることに由来していると考えられる。また、今回の対象者が大学生、かつ、症状が無症状または軽度の状態であったことや、元々の肩甲骨ニュートラル肢位で筋力発揮に適した位置であった可能性があると考えられる。
肩疼痛と筋力の関係はオッズ比から無関係であった。この結果より、肩挙上力に疼痛抑制メカニズムが関与しておらず、肩甲帯バイオメカニクスの変化が重要である可能性が示唆された。
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【Critical Reading】
SRTは肩甲骨の位置関係を重視したテスト方法である。だが、本実験の被験者の群分けが疼痛誘発テストの有無であり、本当に肩甲骨の位置異常があるかは分からない。また、徒手的に修正した肩甲骨の位置が定量化されておらず、実験デザインの不透明性がある。
担当者名:千田悠人
A Clinical Method for Identifying Scapular Dyskinesis, Part2 : Validity
(肩甲骨の運動異常を特定するための臨床方法 その2:妥当性)
Angela R. Tate , Philip W McClure
Journal of Athletic Trainin2009;44(2):165-173.
【Introduction】
肩甲骨の運動異常を有する者と有さない者の視覚的評価法で妥当性を検証したものは存在しない。視覚的評価法であればスクリーニングにて肩甲骨の運動異常の有無や発症リスクがある人を簡便に特定できるため臨床上非常に価値があるものである。そこで、本研究は肩甲骨の運動異常テスト(Scapular Dyskinesis Test:SDT)で障害を有する群と有さない群の運動学的尺度を比較し、テストの妥当性を検証することを目的としている。また、オーバーヘットスポーツを行う選手を対象にSDTの判定と肩疼痛の関連性を明らかにすることも目的とした。
【Method】
被験者全米大学体育協会のスポーツに参加する者の中で、SDTで正常または明らかな異常と判定された104名のうち本研究の趣旨に同意した66名を対象とした。実験方法SDTの3次元運動データを、磁気式3次元モーション・トラッキング・システム(Polhemus社)を用いて測定した。本実験では、肩甲骨の外旋・上方回旋・後傾、鎖骨の挙上・外転の3次元運動データを測定した。本測定はSDT測定日から同日または3日以内に全て行った。データ分析測定データはSDTにて正常群および明らかな異常群でそれぞれ平均化し、安静時から120度までのデータを30度毎に記述した。統計解析は、グループ要因と角度要因にて混合計画における2元配置分散分析を実施した。また、Penn Shoulder Scoreを使用し、3つの条件(①安静時②着替え時③運動時)における疼痛を0~10の11段階で記載した。加えて、肩疼痛強度を3/30以上と6/30以上の2群に分け、肩疼痛2群と肩甲骨運動異常の有無でオッズ比を算出した。
【Results】
SDTにおける屈曲、外転運動ともに角度要因の主効果を認めた。また、屈曲時には肩甲骨上方回旋と鎖骨挙上・外転で交互作用を認めた。明らかな異常群の方が肩甲骨上方回旋および鎖骨挙上が有意に小さく、鎖骨外転は有意に大きかった。外転時には肩甲骨上方回旋・後傾と鎖骨挙上で交互作用を認めた。明らかな異常群の方が肩甲骨上方回旋および鎖骨挙上が有意に小さく、肩甲骨後傾は有意に大きかった。
疼痛の強度と肩甲骨運動異常の有無の関係を表2に示す。オッズ比の95%信頼区間は疼痛3/30以上の群で0.33~1.89、6/30以上の群で0.2~2.25であった。。
【Discussion】
SDT正常群と明らかな異常群の3次元運動データに有意差を認めた。この結果は、両群間で関節運動が異なっていることを示すものであり、SDTにて肩甲骨の運動異常を評価する妥当性を支持するものであった。また、SDTで明らかな異常と判断された者は、肩甲骨への介入をする強い根拠となり得る。
オッズ比より、肩疼痛の強さと肩甲骨運動異常の関係性はないことがわかった。これは、対象が大学のアスリートのため肩疼痛と運動異常の関連性が小さかったためと考えられる。以上より、肩疼痛を有する患者がいる臨床現場と本結果を同一に考えるべきではなく、今後更なる臨床研究が必要である。
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【Critical Reading】
今回の被験者は肩疼痛が小さく、肩関節障害を有していないアスリートであることから健常者もSDTで明らかな異常と捉えられている可能性がある。そのため、今回得られた肩甲骨および鎖骨の3次元運動データが正常群と明らかな異常群で異なることが肩甲骨運動異常を示すデータとなるかも疑問が残る。
SDTが本当に肩甲骨の運動異常を示すのか、今回明らかな異常と認められた群の3次元運動データの解釈、この2点について今後とも吟味していく必要があると考える。
担当者名:千田悠人
A Clinical Method for Identifying Scapular Dyskinesis, Part1:Reliability.
(肩甲骨の運動異常を特定するための臨床方法 その1:信頼性)
Philip W McClure , Angela R. Tate
Journal of Athletic Training 2009;44(2):160-164.
【Introduction】
肩甲骨は3次元上の動きがあることから、臨床評価が困難な部位である。Warnerらは肩甲骨の運動異常は静的評価法よりも動的評価法にてより明らかになることを発見した。しかし、現状では肩甲骨の運動異常を特定する有効で臨床的に簡便な動的評価法は存在していない。そこで本研究の目的は、新たに開発した肩甲骨の運動異常テストであるscapular dyskinesis test(SDT)の評価者間信頼性を測定し、SDTの有用性を検討することである。
【Method】
被験者全米大学体育協会のスポーツに参加する142名(男性111名、女性31名)のアスリートとした。除外基準は、疼痛がNRS(numeric rating scale)が7以上の者、腱板または関節唇損傷の既往歴を有する者、過去1年以内に肩の脱臼・骨折・肩の手術歴がある者、過去30日以内に上肢または上腕骨頸部への直接損傷がある者、接着剤に対してアレルギーのある者、BMI30以上の者とした。SDT【実験方法】男性はシャツを脱ぎ、女性は後胸部を観察できるシャツを着用した。各被験者は、後方2~3mに位置するカメラで撮影されながら肩関節の屈曲及び外転運動を5試行行った。1試行の運動は3秒で挙上、3秒で初期位置に戻るペースで行った。この際に、体重が68.1kg以下の人は1.4kg、68.1kg以上の人は2.3kgのダンベルを把持しながら運動を実施した。【評価】直接観察するライブグループ(Live)撮影した動画を後日視聴するビデオグループ(Video)に分け肩甲骨の運動異常を評価した。Videoでは1人で大画面を視聴し、要求があれば2回再生可能とした。各評価者は、それぞれのSDTでの肩の動きを①正常動作②微妙な異常(疑わしい程度で一貫して異常が存在しない)③明らかな異常(少なくとも3/5以上で異常が存在する)の3つの尺度で評価した。評価者は標準化された動作定義と、正常及び異常な動作のビデオ例を用いた自己学習形式で肩甲骨の運動異常を検出するための訓練を受けた。データ分析SDTの評価者間信頼性を重み付きκ係数を用いて算出した。
【Results】
Videoのκ係数は右0.61、左0.48であり、Liveのκ係数は右0.55、左0.58であった(表2)。左右を平均した信頼性はVideo0.54、Live0.57でありややLiveの方が高かった。
【Discussion】
本研究で行ったSDTでは訓練を受けているトレーナーや理学療法士であればSDTを用いて視覚的に認識し、十分な信頼性を持って正常と異常を判定できることが明らかとなった。本研究の結果は、Kiblerが報告した4つのサブグループ(Ⅰ:下角の突出、Ⅱ:内縁の突出、Ⅲ:上角の過度な上昇、Ⅳ:正常で左右対称)で構成された視覚に基づく運動異常の信頼性(PT0.42、Dr0.32)よりも高かった。この要因としては、Kiblerらの評価法は肩甲骨アライメントの非対称性を重視していることに対し、SDTの評価尺度は胸郭に対する相対的な位置関係を重視していることにあると考える。Koslowらの研究では肩甲骨の非対称性の測定は肩甲骨の運動異常を示すものではないと結論づけている。よって、非対称性を重視したKiblerの評価方法よりも、相対的な位置関係を重視したSDTの方が優れた評価法であると言える。
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【Critical Reading】
SDTは、肩甲骨の運動異常を特定する評価法でありながらも、肩甲上腕関節の影響を取り除けていない課題設定である。そのためSDTで本当に肩甲骨の運動異常を特定することができているのか疑問が残る。肩甲骨の運動異常を特定するためにも、肩甲上腕関節の動きを除外し、肩甲骨単独の運動課題となる設定で行う必要があると考える。
担当者名:千田悠人
(肩インピンジメント症候群を有する人と有さない人の肩関節機能と肩甲骨の3次元運動特性)
Philip W McClure 、 Lori A Michener.
Physical Therapy 2006;86(8):1075-1090.
【Introduction】
肩峰下インピンジメント症候群(Shoulder subacromial impingement syndrome:SAIS)は上肢挙上運動時に肩峰と烏口肩峰靭帯の前下面に腱板、肩峰下滑液包、上腕二頭筋腱が圧迫された状態である。SAISを有する際の肩甲骨の動きや筋力、ROMを調査した先行研究の報告はばらつきがあり、一貫した知見は得られていない。本研究の目的は上肢挙上運動時の肩甲骨の3次元運動、肩関節の自動ROM、胸椎と肩前方突出の安静時の姿勢、筋力を健常者と比較することでSAIS患者の身体的特徴を調査することである。
【Method】
[対象者]SAISと診断された45名(171.7cm±9.4cm、45.2歳±12.8歳)及びSAISを有さない45名(172.0cm±10.2cm、43.6歳±12.4歳)が参加した。除外基準は腱板完全断裂または急性炎症の徴候、頸椎関連の症状、肩甲上腕関節の不安定性、肩の手術歴があるものとした。[測定方法]肩甲骨、鎖骨の3次元運動は電磁式動作解析システムを用いて測定した。運動は、矢状面と肩甲骨面での自動挙上運動及び、2ndポジションでの肩外旋運動とした。肩関節の自動ROMはゴニオメータを用いて測定した。胸椎の姿勢は重力式傾斜計、肩前方突出の姿勢は大工用定規を用いて測定した。筋力はダイナモメーターを用い等尺性収縮にて測定した。[データ分析]3次元運動データは縦軸に肩甲骨及び鎖骨の各運動尺度、横軸に肩関節運動として図を作成した。また、SAISの有無による比較として被験者間及びRO M要因の2元配置分散分析を実施した。ROM、筋力、姿勢の測定についてはt検定を用いて群間比較を実施した。統計学的有意水準は5%未満とした。
【Result】
3次元運動データの結果は、肩関節屈曲にて上方回旋と鎖骨挙上時に有意な交互作用を認めた。また、肩甲平面挙上では肩甲骨の後傾、上方回旋、鎖骨の後退で有意な交互作用を認めた。一方、2ndポジションでの外旋運動では有意な差を認めなかった。肩関節のROMと筋力の項目では、SAISを有する群は有さない群に比べて全ての測定項目において有意に少なかった。胸椎と肩前方突出の安静時の姿勢でも両群で有意な差は認めなかった。
【Discussion】
本研究では、肩甲骨と鎖骨の運動特性には両群で有意な差を認めたが臨床的に意義のある差ではなかった。原因として、SAISは「症候群」のためいくつか種類があり、肩甲骨に限局した運動異常があるのが1部の対象者であったことが考えられる。SAIS群で筋力と肩関節のROMで低下していたのは、インピンジメントによる疼痛が低下に関与していると考えられる。また、肩関節のROMと筋力はSAIS群で明らかに少なく、肩や上部胸椎の安静時の姿勢には差が認められなかった。SAIS群で肩甲骨の後傾、上方回旋、鎖骨の後退が大きいのは肩峰下スペースを広げる代償反応と解釈できる。姿勢で有意差がなかったのは、上部胸椎の可動性低下が見られなかったためと考えられる。
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【Critical Reading】
SAISの有無による肩甲骨、鎖骨の3次元運動の基礎データを確認できた。しかし、SAISを有する群で肩甲骨、鎖骨の関節運動の差が大きく出なかった原因追求で肩甲骨障害があることを特定しきれない現状の課題が浮き彫りとなっている。そのため、肩甲骨障害を判定できる評価法の開発が必要であり、妥当な方法論の確立が必要となると考える。
担当者名:千田悠人
(LSSTを用いた肩甲骨の非対称性の測定と肩関節機能障害の評価:信頼性と妥当性に関する研究)
C J Odom , A B Taylor, C E Hurd, C R Denegar
Physical Therapy 2001;81(2):799-809.
【Introduction】
肩甲骨のアライメントの評価法はいくつかあり、その中の1つとしてKiblerが提唱したLSST(Lateral Scapular Slide Test)がある。Gibsonらは上記のテストにおいて低い評価者間信頼性を示したことを報告している。また、測定値の変動が大きい面や左右差の信頼性、肩の機能障害の有無を予測するための妥当性が未だに確立されていない現状がある。上記のことから、本研究の目的は①LSSTで得られる肩甲骨左右差のICC(1,1),ICC(2,1)を明らかにすること②肩障害の有無によるLSSTの有効性の検証とした。
【Method】
[Subject]ピッツバーグ大学のスポーツ医学センターから46名(18歳から65歳(30.0±11.1))の被験者を採用した。肩疾患を有する者が20名、有していない者が26名。肩疾患20名のうち19名が右利き、1名が左利きであった。損傷側は11人が右肩、9人が左肩であった。除外基準は姿勢や骨の変形があるもの、過去1年以内に手術を受けたもので神経筋骨格系の機能障害の既往があるものとした。取り込み基準は、肩外転90°以上の運動を行え、維持することができる18歳から65歳までのものとした。[Procedure]各テストポジション(肩外転0位,40位,90位)にて胸椎棘突起から肩甲骨下角までの距離を左右とも測定した。測定する際は印のついていない約45cmの紐を用いた。その紐の一端を胸椎棘突起当てて、その位置を維持したまま肩甲骨下角までを引っ張りそこに目印をつけた。別の機会に、一人がメジャーにて紐の目印までの直線距離を0.1cm刻みで測定しLSSTの距離とした。肩の病変の有無は測定中の理学療法士には分からないようにした。また自分の測定値と、他の理学療法士が測定した値は共有しないようにした。測定する理学療法士は、整形外科の外来で1年以上働くものを条件とした。[Data analysis]測定値は、肩障害者は障害側―非障害側で、非障害者は右―左の値を差し引いて差の値を求め、記述統計を行なった。[Statistical analysis] 2群の差を調べるために対応のあるt検定を実施。データの信頼性を見るために肩甲骨距離左右差のICCを求めた。加えて、肩甲骨の差の各測定値についてSDとSEMを算出し、測定の誤差を求めた。
【Results】
LSST左右差のデータの信頼性(ICC)は全ポジションで高い値にはならなかった。また、肩障害群、非障害群どちらも左右差が小さく、データのバラツキ(SDとSEM)も大きかった。対応のあるt検定にて、障害側と非障害側の左右差を比較したが、統計学的有意差は認められなかった(p>0.05)。
【Discussion】
LSSTはICC(1,1)、(2,1)の信頼性が共に低く、データのばらつきも大きいため、肩甲骨の静的評価法としての信頼性が低いという結果になった。また、障害側と非障害側の左右差にも統計学的有意差が認められなかったことから、LSSTは肩甲骨の非対称性の有無と大きさを評価するためには妥当な方法でないことが示唆された。
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【Critical Reading】
肩甲骨の静的アライメントの定量的評価法であるLSSTの信頼性に着目した本論文であるが、その結果ICC(1,1)、(2,1)のどちらも低いテストであるという結果が参考になった。ただ、本研究の取り込み基準が幅広い疾患と年齢を対象としていること、信頼性をLSSTの左右差の平均値に対して実施していることを加味すると被験者間の計測値にばらつきが生じる可能性がある。そのため、取り込み基準をより詳細な疾患や対象年齢、関節可動域、筋力を規定して測定する必要があると考える。
担当者名:千田 悠人
(肩痛患者における肩甲骨のポジショニング〜3つの臨床検査の信頼性と臨床的重要性を検討した結果)
Jo Nijis, Nathalie Roussel, Kim Vermeulen, Greet Souvereyns
Arch Phys Med Rehabil. 2005;86(7):1349-55.
【Introduction】
上肢の機能を最適化するためには、安静時や運動時の肩甲骨の位置を適切に保つ必要があることが広く認識されている。しかし、臨床的な観点からは肩の痛みを有する患者の肩甲骨アライメントを信頼性のある有効な方法で評価するための方法は存在していない。そこで本研究は肩関節痛患者の肩甲骨の位置を評価するための3つの臨床検査について(1)評価者間信頼性(2)内部一貫性(3)臨床的重要性を検討した。
【Method】
被験者:肩障害を有する29名。除外基準は、最近の外科手術に伴う肩の痛みに対して理学療法を受けている者であった。測定者:測定を行うPTは診療所(10施設)と病院の外来部門(3施設)から募集し、2名のPTが参加した。臨床検査:【肩峰―ベッド間距離】姿勢は背臥位とし、2項目(リラックス、肩甲骨内転位)の肩峰とベッドの間の距離を垂直に測定した。【肩甲骨内縁―Th4棘突起】姿勢は背臥位とし、2項目(リラックス、肩甲骨内転位)の肩甲骨の内側縁とTh4棘突起を水平に測定した。【LSST】姿勢は立位とし、3項目(リラックス、hans on hip position、肩側方挙上+最大内旋位)のポジションで肩甲骨下角とTh棘突起を水平に測定した。手順:初めに被験者に肩関節障害質問票(SDQ)と視覚的アナログスケール(VAS)を記入してもらった。その後、①肩峰―ベッド間距離②肩甲骨内縁―Th4棘突起③LSSTの順に測定を行った。測定は1人目のPTが両側の肩を測定した後、2人目のPTが同一被験者を同様に測定した。統計解析:評価者間信頼性はICCを算出。内部一貫性はCronbach係数を算出。臨床的重要性の検討のために(1)自己申告の尺度(SDQとVAS)と臨床検査の関連性をピアソンの積率相関分析(2)臨床検査の結果を肩障害有する群と有さない群でStudentのt検定を実施した。有意水準は1%未満とした。
【Results】
被験者29名のうち女性が19名、肩障害は右肩が18名であった。平均肩の期間は13.7か月だった。痛みのスコアはSDQが58.3%±20.1%、VASが11.3mm±16.3mmだった。臨床検査の評価者内信頼性(ICC)については肩峰―ベッド間距離で.88、.91を、肩甲骨内縁―Th4棘突起では.50、.70を、LSSTは.82、.86、.70を超えていた(表3)。肩甲骨の位置の評価における3つのテストの内部一貫性に関するCronbach係数は両評価者ともに.88であった。ピアソンの積率相関分析の結果、自己申告の尺度と臨床検査の間に有意な相関はなかった。肩疾患の有無で臨床検査を比較すると、検者1では7項目中4項目、検者2では7項目中6項目、疾患を有する側の平均値が高かった。(表1、2)
【Discussion】
評価者間信頼性は肩峰―ベッド間距離とLSSTの2つのテストで高い信頼性が見られた。内部一貫性は.88と高く、3つの臨床評価が同じ基本的な側面を評価していることを示唆している。自己申告の尺度と臨床検査の間に相関が認められなかったことより、3つのテストいずれも症状の有無を区別することが難しく、臨床的重要性(肩疾患の有無の判別)については疑問が残る。しかし、様々な先行研究で肩疾患の有無で差が見られると報告されていることからさらなる実験、検討が必要だと考えられる。
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【Critical Reading】
本研究で3つの臨床試験の評価者間信頼性、内部一貫性が把握できた。ただ、自己申告の尺度(肩の疼痛、機能評価)と、臨床検査(肩甲骨の静的アライメントの評価)は異なる性質をみる尺度のため、両者で相関や臨床的重要性を判断するのは妥当な方法でないと考える。そのため、各アウトカムが何を目的とする尺度なのかを吟味して使用していく必要がある。
担当者名:千田悠人
The Role of the Scapula in the Rehabilitation of Shoulder Injuries
(肩障害のリハビリテーションに対する肩甲骨の役割)
Micheal L. Voight, DPT, OCS,SCS,ATC;BrianC. Thomseon,SPT
Jounal of Atheletic Training 2000;35(3):364-372
【purpose】
肩甲骨周囲の評価や治療はよく忘れられており、このことは肩甲骨の機能不全につながる。そのため、肩の機能や仕組みを理解し、障害された肩甲帯周囲のリハビリテーション知識、技術について理解することを本論文の目的としている。
【anatomy】
肩甲骨は胸郭(鎖骨)と靭帯を介して肩鎖関節を作っている。肩甲骨は多くの筋群によってその位置が保持されている。肩甲上腕関節には回旋筋腱板が存在し、協調して働くことで、肩甲上腕リズムが維持されている。しかし、筋力低下や筋疲労、微小外傷、軟部組織のインピンジメントによってこの作用が障害され、円滑な上肢の関節運動が損なわれると報告されている。
【the role of the scapula】
肩甲骨には大きく3つの役割がある。1つ目は、肩甲上腕関節の動的安定性の維持である。特に肩甲上腕リズムでの受け皿としての機能と、インピンジメントの防止が重要である。2つ目は、筋の付着部としての役割である。また、筋の付着によって肩甲骨のアライメントが保たれている。さらにはフォースカップル機構を可能にさせている。3つ目は、足や体幹のエネルギーを上肢に伝える役割を担っている。
【pathomechanics】
肩甲骨周囲で発生するほとんどの生体力学的な異常や過用による障害の多くは、肩甲骨の安定を保つ筋群の機能変化と関係が深い。このことは、肩甲骨のアライメント異常や肩甲上腕リズムの異常、肩の能力低下につながる。また、肩甲骨安定に関する筋疲労の研究もあり,筋疲労も肩甲骨のアライメント異常に関与することが報告されている。
【evaluation】
肩甲骨の静的評価法は肩甲骨を後方から評価し、動的評価法はゆっくり滑らかに運動させ評価する。Kiblerは、肩甲骨内転運動を等尺性収縮で5〜20秒間行うテストを考案している。このテストは、肩甲骨の筋力低下があると15秒以下で痛みを生じるとされている。また、脊柱と肩甲骨下角の距離を見るLSS(Lateral scapular slide)テストも考案しており、異常な左右差は、1.5cmとしている。
【rehabilitation】
障害初期には筋疲労を生じない程度で実施し、徐々に痛みが減少してきたら運動強度を高くしていく必要がある。介入の始めはストレッチからが良いと言われており、拮抗筋のストレッチも重要である。運動やストレッチを行う際は、正しいフォームで実施することが重要である。
以下に、肩甲骨の安定性と動作を改善するコアテクニックを紹介する。
① scapular clock(図4) ②towel slide(図5) ③Pro Fitter standing weight shift(図6)④PNF pattern(図7) ⑤lawnmower(図8)
以下に、肩甲骨の位置、肩甲上腕リズムの促進、インピンジメントの可能性を減らす運動を紹介する。① Ball stabilization(図9) ②PNF D2 pattern(図10) ③Alternating serratus anteriorpunches(図11)④Plyometric exercises using weighted balls with a Plyoback(図12) ⑤Latissimus pull down(図13)
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【Critical Reading】
本論文を読んで、肩甲骨の役割を幅広く学ぶことができた。ただ、本論文中で紹介されている内容は実際に効果を検証しているわけではなく、1例の紹介である。そのため、どれだけの効果があるのかが不透明であるため、より深い内容を参考文献や教科書で読み進めていく必要がある。
担当者名:千田悠人